ペインクリニック

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹とは、過去に感染した水痘(水ぼうそう)のウイルスが体の中に隠れていて、何かのきっかけで再び表に現れてくる状態です。このウイルスは水痘帯状疱疹ウイルス(VZV: varicella zoster virus)といって、分類的には口唇ヘルペスを引き起こすウイルスや突発性発疹のウイルス等の仲間です。

帯状疱疹はその名の通り体の一部に小さな水ぶくれが帯状に沢山現れます。水ぶくれはピリピリとした痛みを伴います。時に、水ぶくれが目立たないうちに痛みが先行することもあります。この水ぶくれはそのうちかさぶたになって治っていきます。特に顔などで痕が残ることもありますが、多くの場合、皮膚が治ると痛みも収まります。しかし、時々、皮膚が治った後も痛みが残ってしまうことがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。

帯状疱疹後神経痛は、人によって重症度が異なりますが、日常生活も困難なほどの激痛を生じる場合もあります。帯状疱疹後神経痛に対しては、なるべく早めにしっかりと痛みを取ることが必要です。帯状疱疹後神経痛はその名の通りウイルスが神経をいためることによる痛みなのですが、こういった神経痛は治療が遅れると痛みが残りやすくなるためです。

帯状疱疹後神経痛は一般的なロキソニンやボルタレン、カロナールといったお薬だけでは十分に痛みを制御できないことが殆どです。神経痛に有効性のある複数の薬剤を併用しますが、人によって必要量が違うので個別に調整しなければなりませ。症例によっては漢方薬も併用します。

帯状疱疹後神経痛に対して、神経ブロックを施行する場合もあります。帯状疱疹は顔にできることもあれば脇腹やお腹にできることもあります。どこにできるかによって、それぞれ違った種類の神経ブロックが必要になります。顔であれば三叉神経ブロックや星状神経節ブロック、頸から下であれば硬膜外ブロックや肋間神経節ブロック等、患者様によって有効なブロックが変わってきます。これらのブロックの多くは、安全性と有効性を確保するために洗練された技術と充実した設備の両方を要するため、施設や医師の選択が大切です。

私は色々な国の医療機関を経験しましたが、中でも日本は非常に我慢強い方が多い印象があります。そのため、大変な痛みを長時間耐えて辛い生活を送ってしまっている方々が沢山いらっしゃいます。

「痛み」を治療する為に研鑽を重ねてきた身として、一人でも多くの方のお役に立ちたいと存じますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。