整形外科

圧迫骨折(胸椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折)

圧迫骨折(胸椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折)

症状

脊椎圧迫骨折の主な症状は、寝返りを打ったり起き上がったりする際に背中に激しい痛みを感じることです。この痛みは背中の特定の部位に限定されず、腰部まで及ぶこともあります。鋭い刺すような痛みや鈍痛として現れます。

また、圧迫骨折は、脊椎の骨が圧力や外力によって破壊されることで引き起こされます。この状態では、骨が圧迫されたり押しつぶされたりし、その結果として痛みや不快感が生じます。痛みの程度は骨折の重症度や場所によって異なりますが、一般的には非常に強い痛みを伴います。

また、圧迫骨折には他にも症状が見られることがあります。神経の圧迫や損傷により、しびれや痺れ、筋力低下、感覚異常が生じることがあります。また、脊椎の不安定性により、背中や腰の筋肉のこわばりや緊張、動作制限が現れることもあります。

さらに、圧迫骨折が物理的な骨の変形を伴う場合、背中や腰の部位で隆起や変形が見られることがあります。これは骨の破片が周囲の組織に突出することによって起こります。

また、圧迫骨折が何年も前に起きた場合でも、症状が再発することがあります。骨折部位が正しく固まっていない場合、体を動かすたびに上下の骨がズレて強い痛みを引き起こすことがあります。

一方で、骨折しているにもかかわらず痛みを感じない患者さんもいます。痛みを感じずに放置すると、さらなる脊椎の損傷が起きる可能性が高まるため、早期の診断と処置が必要です。

第二腰椎の圧迫骨折を示した模型(赤矢印)

原因

圧迫骨折の原因として、骨粗しょう症が最も多いものとなっております。圧迫骨折を起こす人の中には、もともと骨粗しょう症である人が多く、骨の密度が低下し骨がもろい状態になっています。そのため、転んで尻もちをつくなどした時に背骨に衝撃がかかると、圧迫骨折が起き、背骨が潰れてしまいます。

また、背骨には神経がたくさん通っているため、骨折した骨が神経を圧迫することで、麻痺症状を引き起こす可能性があり、寝たきりにつながってしまうこともあります。

また、衝撃がない場合でも自分の身体の重さに耐えきれず潰れてしまうこともあり、その場合、自分で気づくことが難しくなってしまいます。

また、若い人でも瞬間的に強い衝撃が加わることにより、圧迫骨折を起こすことがあります。
女性の場合は50歳前後で、男性の場合は、糖尿病や慢性腎臓病などといった骨粗しょう症の原因になり得る病気にかかっていなければ、70代後半から骨密度検査を受けて、自分の骨の状態をチェックすることが良いでしょう。

治療

圧迫骨折の治療として、まずは圧迫骨折の進行を止めることが重要です。そのため、1~2週間にわたり硬いコルセットを着用し、できる限り安静にしておく必要があります。ただ、実際にはなかなか難しい患者様もいらっしゃるため、個別に相談しながら治療していきます。

また、痛みを取るための治療として内服薬や湿布の処方、リハビリテーション、注射療法を行います。
注射療法では、痛みを取るための「エルカトニン」という注射や高度なブロック注射を行うこともあります。
圧迫骨折の患者様は骨粗しょう症であることが多く、また別の部分の脊椎を骨折してしまうリスクが高いです。それ以外にも足の付け根を骨折する大腿骨近位部骨折や手首を骨折する橈骨遠位端骨折など、様々な骨折につながる危険性も高くなってしまいます。

こういった骨折は、寝たきり状態などにつながりかねないため、可能な限り予防する必要があります。そのため、圧迫骨折した患者様の多くが骨粗しょう症治療を検討します。飲み薬や注射薬など、その方の医学的背景や希望に合わせて適切なものを選択します。

下肢の麻痺などが生じた場合など、手術が必要な場合は提携病院へ紹介させていただきます。