整形外科

圧迫骨折(胸椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折)

圧迫骨折(胸椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折)

圧迫骨折は、背骨(脊椎)が上下に潰れてしまうような骨折のことを言います。

胸の背骨におきたものを「胸椎圧迫骨折」、腰の背骨のものを「腰椎圧迫骨折」と呼びます。多くの場合、年齢とともに骨が弱くなってしまう「骨粗鬆症」に伴って発症します。骨粗鬆症を有する方だと、明確にぶつけた、転んだというエピソードが乏しくてもいつの間にか骨がつぶれているということもしばしばあります。

ただし、若い方でも瞬間的に強い力が加わることで圧迫骨折を起こすことがあります。

スノーボードで激しく転倒して尻もちをついた際等に受傷することがあるほか、珍しいものでは戦闘機等のコクピットから脱出する「ベイルアウト」の際に、射出座席の強烈な加速度(重力の20倍とも言われています。)で圧迫骨折が発生することもあるそうです。

戦闘機からの脱出による圧迫骨折の方を私自身が見たことはありませんが、厳しい訓練を経た屈強なパイロットの背骨をも傷つける射出座席の威力は凄まじいですね。

第二腰椎の圧迫骨折を示した模型(赤矢印)

圧迫骨折は通常、身体診察に加えてレントゲン撮影で診断しますが、発症直後では所見が乏しい場合もあるので、数日後に再度レントゲンを撮影することもあります。

圧迫骨折の治療目標として、まず起きてしまった圧迫骨折がなるべく進行しないようにすることがあります。その為、可能であれば1〜2週間は硬いコルセット(硬性コルセット)を着用し、なるべく安静とします。ただし、実際にはなかなか難しい患者様もいらっしゃいますので、個別に相談しつつ治療していきます。

また、痛みをとることも大切な治療の一つです。内服薬や湿布薬の処方、適切なリハビリテーションに加え、各種の注射も提案いたします。

注射としては、圧迫骨折の痛みをとるためのエルカトニンという注射をすることもありますし、その他、より高度なブロック注射を提案する場合もあります。

圧迫骨折の患者さんは多くが骨粗鬆症を有しており、また別の部分の脊椎を骨折してしまう危険性が高いと言えます。それ以外にも足の付け根を骨折する「大腿骨近位部骨折」や、手首を骨折する「橈骨遠位端骨折」等、様々な骨折を引き起こすリスクも高くなってしまっています。

こういった骨折は寝たきりとなってしまうことを助長してしまう恐ろしいものですので、可能な限り予防していく必要があります。そのため、圧迫骨折を来した方のほとんどで骨粗鬆症の治療を模索することになります。骨粗鬆症治療薬としては、飲み薬や注射薬等、その方の医学的背景や生活、趣向に合わせて選択肢が増えてきているので、適切なものを選択していきます。

下肢の麻痺を生じた場合など、手術が必要になるケースでは提携の病院へ紹介させていただくこともございます。