整形外科

外反母趾

外反母趾

症状

外反母趾は、足の母指(親指)に特有の症状を引き起こす疾患です。

まず、外反母趾の最も顕著な症状の一つは、母指の形状の変化です。正常な足の形では、母指は他の指と並んでおり、まっすぐに伸びています。しかし、外反母趾では、母指の先端が人差し指の方向に「くの字」のように曲がってしまいます。この特徴的な曲がり角度は、足の関節の変形に起因しています。母指の付け根にある関節が変形し、この変化が指の形状に影響を及ぼすのです。

さらに、外反母趾では母指の付け根部分に突出した塊や腫れが生じます。この突出部分は、一般的には骨の変形や組織の異常な圧力によって引き起こされます。この部分が靴などの外部刺激に触れると、炎症が生じ、痛みを引き起こすことがよくあります。初期段階では、特に靴を履いているときにこの痛みが顕著になりますが、炎症が進行すると、靴を履いていない状態でも持続的な痛みを感じることがあります。この痛みは、日常生活において歩行や運動に支障をきたすことがあり、不快さや不便さをもたらします。

外反母趾は進行性の疾患であり、時間とともに症状が悪化することがあります。そのため、早期の診断と適切な対処が非常に重要です。足の形状や靴の選択、遺伝的な要因などが外反母趾の発症や進行に影響を与える要因として考慮されます。

痛みや不快感を伴う外反母趾は、適切なケアや治療を受けることが必要です。早期の診断と適切な対処が合併症の予防に役立ち、生活の質を向上させることができます。個々の症状に注意を払い、医療専門家の指導を受けることが、外反母趾の管理に不可欠です。

原因

まず、外反母趾の主要な原因の一つは、自分の足に合っていない靴を着用することです。特に、つま先が狭い靴を履くことで、母趾の部分が圧迫され、時間の経過とともに変形が進行します。このような靴を長時間履くことで、足の構造に無理な負担がかかり、外反母趾のリスクが高まります。さらに、ヒールの高い靴を履くと、足にかかる重力が増し、外反母趾の進行が促進されることがあります。

外反母趾の発症に影響を与えるもう一つの要因は、年齢です。10代の若い年齢で外反母趾が発生する場合、母趾が通常よりも長い場合や、扁平足の傾向がある場合にリスクが高まります。この年齢層では、成長段階にあるため、足の形成に影響を与える要因が外反母趾の発症に寄与します。

一方で、中年期に外反母趾がより発症するリスクが高まります。この年齢層では、靴の選択だけでなく、肥満や筋力の低下など、健康上の問題も外反母趾のリスクを高めます。肥満があると、足にかかる負担が増え、外反母趾の進行を促進する可能性が高まります。また、筋力が低下すると、足の構造をサポートするための筋肉が弱まり、変形の進行が加速する恐れがあります。

治療

強い痛みや指の変形がみられる場合、治療用インソール(靴の中敷き)の利用が一つの選択肢とされます。これらの特別設計のインソールは、個々の骨格構造や足の形に合わせて製作され、進行を抑制し痛みを和らげる役割を果たします。しかし、インソールは足の機能を最大限に活かす手段であっても、指の変形を完全に元に戻すことはできません。指の変形を根本的に修復するには、通常、手術が必要です。手術を受けることで、変形した指の関節を調整し、正常な位置に戻すことが可能です。手術後には適切なリハビリテーションが必要となります。リハビリを行うことで、指の機能と柔軟性を回復させることにつながります。治療の選択肢は個々の症状や状態に応じて検討されます。

もし手術が必要な場合、専門医療機関を紹介します。