足関節捻挫
足関節(足首)の捻挫は、非常に多い怪我です。捻挫というのは、関節の怪我のうち、骨折や脱臼といった骨レベルの怪我を除いたものです。具体的には、靱帯や腱などの損傷を言います。
足関節の捻挫はスポーツ時をはじめとして普通に歩いたり走っているとき、階段の昇り降りで足を捻ったときにもしばしば発生します。
足関節周囲には多くの靭帯が存在しますが、捻挫で最も頻度が高いのは「前距腓骨靱帯」の損傷です。

前距腓骨靱帯は足関節のやや前方外側に位置する靱帯で、足首から下を内側に捻った場合(内返し捻挫)に損傷しやすく、足の捻挫で半分以上を占めます。
前距腓靱帯損傷は頻度が高い反面、軽傷なものも多く、その場合にはしっかりとテーピングを数日行い、その後は痛みに応じて段階的に元の生活や競技に復帰していきます。症例によってはより強固な固定を行い、松葉杖などを併用して確実な安静を図る方が結果として早く治療できる場合があります。
逆に、足首から下を外側に捻ってしまった場合(外返し捻挫)では、うちくるぶしに付着する「三角靱帯」の損傷による捻挫を生じることがあります。

上の模型でもわかりますが、三角靱帯は前距腓靭帯よりも些か強靭な作りになっており、これは足関節の捻挫に内返し捻挫が多い一因と言えます。
さて、足関節の捻挫の中で少し厄介なものに、「前下脛腓靱帯」の損傷があります。

前下脛腓靱帯を損傷すると、体重を乗せたときの痛みが強く、治癒までの時間もほかの捻挫より長くかかる傾向があります。
前下脛腓靭帯はそもそもラグビーやアメフト等のコンタクトスポーツで発生する頻度が高く、そのような場合は必然的に、より慎重な競技復帰を要します。
そもそも、全ての種類の捻挫において、骨折を念頭におく必要があります。骨折がないことを確認して、初めて捻挫であるということが言えますし、骨折が存在する場合には治療方針が大きく変わってきます。
もし骨折が存在するのに診断、対応が遅れてしまうと、怪我をより重症化させてしまう危険性があります。
骨折の種類や患者様の年齢、活動度、その他の要因により、手術に踏み切った方が良いのか、保存的な治療が向いているのか、個別に判断する必要がありまく。
足をひねってしまったというような場合にも、ぜひお気軽にご相談ください。