一般内科

痛風(高尿酸血症)

痛風(高尿酸血症)

症状

痛風は、ある日突然、足の親指などに腫れや激しい痛みが生じる病気です。こういった症状は突然起こることから、「痛風発作」と言われています。発作が起こると、2~3日間は歩行が困難になるほどを痛みを伴います。
その後、痛みは徐々に治まりますが、治療を受けずに放置していると、同様の発作が繰り返し起こる恐れがあり、その都度病態は悪化していきます。
痛風は、「高尿酸血症」という病気によって引き起こされます。高尿酸血症とは、体内の尿酸濃度が高い状態を言います。高尿酸血症は、それ単体では症状は現れませんが、体内の尿酸の濃度が高い状態が続くと、関節や組織に血液に溶け切らなかった尿酸が結晶化したものが溜まっていきます。こうして関節に溜まった尿酸結晶に対して免疫細胞が反応することで、炎症を起こし痛風となります。
また、尿酸値が高い状態で治療をせずに放置していると、様々な合併症を引き起こす恐れがあります。
高尿酸血症は、高血圧や糖尿病、脂質異常症を合併しやすいです。こういった生活習慣病は、動脈硬化を引き起こす危険性が高い因子で、脳出血や脳梗塞などといった脳血管疾患、心筋梗塞や狭心症などの心疾患を引き起こす恐れがあります。
また、体内に尿酸が増えると、結晶化した尿酸が腎臓に溜まることがあります。腎臓内に尿酸結晶が溜まると腎機能が低下し、さらに尿酸が溜まりやすい状態になります。このような負のサイクルによって「慢性腎不全」になる恐れがあります。
また、尿酸結晶が尿路に溜まると、尿管や腎臓、膀胱などに結石ができる尿路結石になる恐れがあります。

原因

痛風の原因となる高尿酸血症は、食生活などの生活習慣と大きく関係しています。
尿酸はプリン体という物質が分解されて生成されます。プリン体は、動物性食品(レバー、エビなど)やアルコール飲料、高カロリー食に多く含まれており、こういった食品を食べ過ぎるとプリン体を過剰に摂取することになります。また、アルコールには体内でプリン体の合成を促進し、尿酸の排出を抑えることが判明しています。
また、肥満も尿酸の排出を抑制する効果があるため、体内の尿酸量が増えることが多いです。
その他にも、ストレスや激しい運動も尿酸値が上がる原因と考えられています。運動後、大量の汗をかいたときは、血中の尿酸濃度を抑えるために、十分な水分補給をすることが大切です。

治療

痛風の治療をするにあたり、急激に尿酸値を下げるような治療をしてしまうと、かえって病状を悪化させてしまう恐れがあります。
そのため、まずは痛みを和らげるための治療を行います。具体的には、消炎鎮痛剤の内服や、関節への注射などを行い、痛みの症状の改善を目指します。
その後、血液中の尿酸値を検査し、目標数値を設定し、少しずつ尿酸値を下げていきます。尿酸値が目標数値に達したら、その数値を保つことで尿酸塩の結晶が少しずつ溶けていくため、溶け切るまで治療を続けます。
治療を途中でやめてしまうと、数年後に再度発作を繰り返し、腎機能に障害を残し、人工透析治療が必要となる恐れがあります。

尿酸の生成の抑制や排出の促進など、タイプに合わせて薬物療法を実施し、正しい生活習慣を身に着けることで、治療効果を最大限高めます。また、生活習慣を改善することは、痛風の予防にもつながります。

痛風の予防

食生活・バランスの良い、食物繊維が多く含有されている和食などがおすすめです。
・食事は腹八分目を目安に、食べ過ぎには注意しましょう。
・プリン体の摂取は、400mgまでに抑えましょう
飲酒アルコールは適度な量を摂取し、飲み過ぎないように注意が必要です。
水分摂取食事の時を除いて、1日2リットル以上水分を摂取することで、尿酸を排出するために必要な水分量を担保することができます。
運動激しい運動は尿酸値を高める原因となる恐れがありますが、ウォーキングなどの軽い有酸素運動は効果的です。