皮膚科

ニキビ(尋常性痤瘡)

ニキビ(尋常性痤瘡)

ニキビは、とても身近な皮膚の疾患です。「私は一度もニキビができたことはありません。」という人は、ほとんどいないでしょう。ニキビがよくできる場所は、おでこやアゴ、背中といった、皮脂の比較的多い場所です。顔によくできるということで、整容上気にされる方も多いでしょう。

ニキビのことを医学的には「尋常性痤瘡」と呼びます。ニキビの原因は、アクネ菌(Propionibacterium acnes)の増殖であると言われています。菌というと感染症を想起しますが、アクネ菌は「常在菌」といって、健康な人の肌に元々いるものです。

人間の毛穴には皮脂を分泌する「皮脂腺」が存在しています。その中でも、「脂腺性毛包」と呼ばれる種類のものがニキビの発生母地になります。皮脂の分泌が増えると脂腺性毛包の出口が塞がってしまい、閉塞した脂腺性毛包の中でアクネ菌が増殖します。そうすると炎症を起こして赤くなったり、膿(膿瘍)をつくってしまいます。

ニキビは男女ともに、皮脂の分泌が増える思春期がピークとなります。女性では妊娠周期や月経周期に伴ってニキビができやすくなる方もいらっしゃいます。また、化粧品の使用により毛穴が塞がってしまうことも悪化要因になり得ます。

ニキビそのものも、痛みを生じたり見た目で気にされる方が多いのですが、ニキビの痕が残ってしまうことも問題です。これを「瘢痕」と呼びます。一度瘢痕を形成してしまうとそう簡単には瘢痕を消すことはできません。瘢痕形成を完全に防ぐことは難しいとしても、早めに適切な治療をすることで瘢痕が残りにくくなります。

ニキビの治療は、ほとんどの場合、塗り薬が主です。ニキビの治療中は、1日2回の洗顔をおすすめします。その上で、炎症が強いタイプのニキビには、ニューキノロン系やクリンダマイシンといった種類の抗生物質を含む塗り薬を用います。炎症が強くないタイプでは、過酸化ベンゾイル等、抗生物質を含まない塗り薬を選ぶことが多いと言えます。

ほとんどの方が発症するニキビは比較的軽症です。しかし、重症のニキビの場合には飲み薬も併用する場合があります。

さて、アクネ菌はニキビの原因となるため、一般的には悪者と考えられています。しかし、適度な数のアクネ菌が皮膚に住んでいることにより、他の悪い菌の繁殖を抑えていると言われています。また、健康な肌は弱酸性ですが、アクネ菌はこの弱酸性状態を保つことにも役立っていると言われています。その為、ニキビを治すためといって、全ての症例で強力な抗生剤を使ってアクネ菌をやっつけ過ぎてしまうと、かえって肌の調子が悪くなってしまう恐れがあります。

一口にニキビと言っても、その重症度や個人の背景に鑑みて適切な治療を選択する必要があります。「ニキビくらいで医療機関にかかるのは気が引ける」という方もいらっしゃいますが、どんなことでも健康上の悩みに役に立てることを目指しているので、是非お気軽にご相談ください。