肘内障
症状
肘内障は小児によく見られる疾患の一つであり、突然発症することがあります。主な症状としては、肘の痛み、それによって肘を曲げたがらないことなどがあります。痛みについては、軽度から中等度の痛みであることが一般的ですが、強い痛みを伴うことも時より見られます。また、肘を曲げようとしないだけでなく、肘の曲げ伸ばしを制限するような姿勢を取ることもあります。また、患肢をだらんと垂らしたまま動かそうとしないこともよくあります。さらに、患肢に触れようとすると嫌がり、泣き出すことがあります。
肘内障の症状が現れた場合、一般的には関節腫脹、熱感、発赤などの他覚所見は見られません。これは、肘内障が関節腫脹を伴う炎症性の疾患ではないことを示しています。
肘内障は、通常は「子供の肘」としても知られる頸部脱臼や前腕骨の頸部骨転位が原因で発生します。これは、幼児の骨が比較的柔らかく、関節が不安定であるために起こりやすいものです。一度発症すると、幼児が肘を曲げようとする時などに再発することがあります。
発症後は肘の使用を控え、安静を保ち、医療機関を受診することが望ましいです。
原因
肘内障は、通常は関節脱臼や頸部骨転位といった状態が引き金となって発生します。幼児の骨は柔軟で関節が不安定であるため、肘が簡単に脱臼することがあります。
肘内障の原因として最も多いものが、腕を引っ張られることです。
1歳未満では約25%が、1歳以上では約50%が肘を引っ張ったことで肘内障が引き起こされます。また、手を引っ張ることでも同じことが引き起こされる恐れがあります。
子どもが転びそうになった時に手を引っ張って助けようとした時や身体を起こそうと腕を引っ張った時などに、子どもが手を動かさなくなったというケースがよく見られます。
腕を引っ張ると、前腕の骨が引っ張られ、肘の関節部分である骨同士の隙間が広がることがあります。その後、前腕の骨が元の位置に戻ろうとする時、筋肉や靭帯が骨の間に挟まってしまうことがあります。
その他にも転んで手をつくことや子どもが1歳未満の場合は、寝返りをうつなどが原因になることもあります。
肘内障にならない、させないためには、子どもの腕を引っ張らないように日頃から注意する必要があります。肘内障は6歳未満に多い疾患ですが、1度になると再発のリスクも高く、場合によっては3回以上起こる人もいます。
また、骨や筋肉、靭帯が成長することで、肘内障は6歳を超えると起きにくいと考えられていますが、人によっては発生するケースもあるため注意が必要です。
治療
肘内障の治療方法としては、徒手療法が一般的です。肘を直角に曲げ、手のひらを上に向けた状態から、橈骨頭を押し込むように前腕を内側に捻るようにゆっくりと回すことで、「コキッ」という音とともに整復されます。整復が完了すると、肘を曲げたりすることが可能となります。
整復後に固定などをする必要はありません。
また、症状が改善した後は、適切なリハビリテーションを受けることが大切です。リハビリテーションにおいて、肘の動きや筋力を回復させるためのエクササイズやストレッチを行います。
当院では、医師の指示の下理学療法士が患者様1人1人に合わせた運動器リハビリテーションを行います。
他にも物理療法機器を使用したリハビリも必要に応じて実施しております。
肘内障の治療は、個人の症状や状況によって異なる場合があります。
早期の診断と適切な治療を受け、必要な休息とリハビリテーションを行うことで、肘内障の症状を改善し、日常生活への復帰を促すことが期待されます。
肘内障の症状が現れた場合は、早期に医療機関を受診することが望ましいです。