コラム

超音波(エコー)について

当院では、デジタルX線(レントゲン)や心電図等の医療機器を取り揃えていますが、その中でも特にこだわりのあるのが超音波断層装置(エコー)です。

超音波とは、人間に聞こえないほどに、とても高い・または低い音のことをいいます。
この超音波が体の色々な組織に当たって跳ね返ってくることを利用して、体の中を観察します。
超音波検査の特徴として、”動き”を観察できることがあります。

一般的なレントゲン、CTもMRIも、その瞬間を切り取った”静止画”なのですが、エコーは”動画”なのです。
また、レントゲンがほとんど骨だけを写すのと比べ、筋肉や靭帯といった軟部組織とよばれる部分を観察できます。

エコーは”音”を用いて体の組織を観察するので、レントゲンやCTのように放射線被曝の心配がなく、妊娠の可能性がある方や小さなお子様にも安心して使用できます。

長年、超音波の大きな欠点は、進達度と解像度でした。すなわち、浅いところしか見ることができず、その浅いところでもぼやけた画像しか写すことができませんでした。しかし近年、超音波検査は機器の進歩が最も著しい分野の一つであり、最新のエコーでは非常に高精度で滑らかな画像を比較的深い組織まで観察することができます。

当院のエコーは、FUJIFILM PXという機種です。これは院長自ら2022年現在の各社最新エコーを比較し、当院の用途において最も良いと思われるものを選択いたしました。

当院では用途に応じた3種類のプローブ(探触子:体に当てる部分)を用意し、筋肉や骨、お腹の内臓、心臓をそれぞれ詳しく評価し、また高度なブロック注射等の治療にも役立てています。

余談ですが、超音波で何かを検出するという試みは、有名なタイタニック号の沈没を受けて氷山を見つけ出すためのソナーが開発されたことに端を発します。

その後、第一次世界大戦でドイツ帝国の潜水艦:Uボートが猛威を振るうと、これに対抗する手段として連合国軍でソナーが採用されました。その後、フランスをはじめ世界中で発展していきます。

第二次世界大戦後にはこのソナーを応用した超音波断層装置が医療分野で用いられ始めて、進化を遂げて現代に至ります。

戦争を通して発展した技術が、医療に応用されて人々を救っていることに、なんとも言えない感慨を感じます。