コラム

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛や脚の痺れを生じる原因となる、非常に頻度の高い疾患です。

腰椎とは腰の背骨のことで、椎間板というのは背骨の骨と骨の間にあるクッションの役目をしている組織です。

上の模型で水色の部分が椎間板です。

ヘルニアというのは、ラテン語のherniaという単語に由来し、原義は「飛び出す」という意味だそうです。医学用語で言うヘルニアとは、何らかの組織や臓器が、あるべき場所から飛び出した状態を言います。

椎間板ヘルニアとは、模型で青く見える椎間板が後側に飛び出してしまうとこをいいます。模型で黄色く見える部分は脊髄という太い神経で、ヘルニアがこの神経を圧迫すると、腰痛や脚の痺れを起こしてしまいます。

腰椎椎間板ヘルニアの診断は、身体所見とレントゲンやMRIといった画像診断を組み合わせて行います。腰椎椎間板ヘルニアは非常に多い疾患で、神経を圧迫していないために症状に気づかない「無症候性」のものも含めると、成人の3割ほどに見つかるという説もあります。

椎間板ヘルニアの治療として、多くの場合は手術に頼らない保存的治療を行います。椎間板ヘルニアの8割以上は自然に軽快するため、まずはそれまでの間、症状を緩和することを目指します。ヘルニアが神経を圧迫すると、お尻や脚のしびれや痛みを強く自覚することがあります。こういった神経症状には一般的な痛み止めは効果が不十分であることも多く、プレガバリンやミロガバリンという特殊な痛み止めを必要とする場合があります。これらのお薬は人によって適切な用量が大きく異なるため、医師による調整が必要です。適切なリハビリテーションも症状緩和に有効です。症状が強い場合には各種神経ブロックを行うこともあります。“硬膜外ブロック”を施行することにより、身動きも取れない程の痛みが劇的に改善する場合もあります。

手術療法を選択する基準として、脚の力が入らなくなったり、尿が出ない、便が我慢できないといった「膀胱直腸障害」を来した場合は可及的速やかな手術を必要とします。また、痛みの症状が強く保存的な治療で改善しない場合も手術を考慮する場合があります。

当院では、適切な診断と投薬、資格と経験のあるスタッフによるリハビリテーション、各種神経ブロックを提供すると共に、手術が必要な患者様については高次医療機関への紹介をしています。

ぜひお気軽にご相談ください。