腰椎分離症
症状
腰椎分離症は、椎弓(ついきゅう)にひびが入る疲労骨折から始まります。初期の段階では、自覚症状がないことが多いですが、症状が出る場合もあります。腰椎分離症の主な症状は腰痛です。スポーツなどをしている際、腰を捻ったり反らしたりした時に腰に電気が走るような痛みが生じることが多いです。また、長時間立ち続けることや座り続けることなどでも痛みが生じることが多いです。
疲労骨折から症状が進行すると、骨が完全に折れることで、椎弓が分離します。椎弓が分離すると、椎骨の安定性が損なわれ腰椎にずれが発生すると、脊髄の神経が圧迫されて足のしびれなどの症状が現れます。これを「腰椎分離すべり症(腰椎すべり症)」と言います。
疲労骨折の時点では、足のしびれの症状が現れることは少ないですが、腰椎分離症になると腰痛や足のしびれなどに加えて、腰周辺の筋肉の張り感やお尻から太もも裏にかけて広範囲で痛みが生じることがあります。
腰椎分離すべり症(腰椎すべり症)について
腰椎分離すべり症(腰椎すべり症)とは、椎骨が分離することで安定性が損なわれた腰椎が前方にズレてしまう疾患です。
腰椎すべり症は大きく2種類に分類されます。スポーツなどでの強い衝撃により、椎弓が分離してしまう場合を「腰椎分離すべり症」と呼びます。一方、スポーツなどによる衝撃ではなく、加齢が原因となって腰椎周辺の組織が変性し、安定性が損なわれたことで引き起こされるものを「腰椎変性すべり症」と呼びます。
原因
腰椎の後方に弱い構造のリング状の椎弓(ついきゅう)と呼ばれる骨があり、スポーツなどで背中を反らす動作やジャンプの着地で衝撃がかかった時に椎弓にひびが入ることがあります。1度の動作で急に椎弓にひびが入ることは稀で、動作の繰り返しによって負荷が蓄積されることで疲労骨折につながります。この椎弓にひびが入ることが、腰椎分離症の始まりとなります。
そして、スポーツなどの動作で椎弓に強い負荷がかかり、ひびの部分が完全に折れてしまうことが腰椎分離症の主な原因です。
腰椎分離症が発生しやすい年齢
小学生から中学生の時期に、スポーツや部活動を始めることで腰に負荷がかかり、椎弓にひびが入ります(疲労骨折)。そして、スポーツを続けることで、高校生から大学生の時期に、椎弓のひびの部分が完全に折れることで、腰椎分離症が発生することが多いです。
腰椎分離症が発生しやすい性別・スポーツ
腰椎分離症は男女で比較すると、2:1で男子の方が発生しやすいです。
スポーツの種類は、サッカーや野球、バスケットボール、ラグビー、柔道など、身体をかがめたり、腰を左右に回す・捻る動作が多い競技で発生しやすいです。
治療
腰椎分離症や腰椎分離すべり症(腰椎すべり症)は、症状の進行度合いによって治療法が異なり、症状に合った治療を行うことが重要です。
固定による安静
腰椎分離症の初期段階は、椎弓にひびが入る疲労骨折です。この段階では、ひびが入った椎弓をくっつけるための治療が必要となるため、コルセットを装着します。
また、コルセット装着と並行して、腰椎の状態に合わせてスポーツを一定期間(目安:3〜12か月)中止し、安静にする必要があります。しっかりと安静にすることで、腰椎がしっかりと結合する可能性が高くなります。
リハビリ
安静にした後、腰椎が安定したらリハビリを行います。当院では、医師の指示の下、理学療法士が患者様の症状に合わせて運動器リハビリテーションを行います。柔軟性と筋力を向上させることで、症状の改善を目指します。
手術療法
腰椎分離症で椎弓が完全に折れて分離した場合、日常生活に大きな影響がなければ、手術は行わないことが多いです。
腰椎分離すべり症になり、生活に支障が出るくらいの症状が現れた場合や、スポーツへの競技復帰を目指す場合は、分離した椎弓を固定するための手術をする必要があります。
手術が必要な場合は、専門医療機関を紹介させていただきます。