硬膜外ブロック
各種神経ブロックのなかでも、硬膜外ブロックは高度な技術を要する反面、効果が劇的で、比較的即効性もあります。
当院では、背中や腰の痛み、また腰からくる脚の痺れなどで、適切なお薬やリハビリテーション、各種ブロック注射等によっても痛みが取れずに日常生活が困難な患者様を中心に、硬膜外ブロックを行なっています。硬膜外ブロックは痛みの大元の神経に作用するので、強い痛みやしびれに悩む患者さんに適しています。
硬膜外腔というスペースに背中から局所麻酔薬や少量のステロイドを注射して痛みを取る方法で、刺す場所(高さ)により頸部、胸部、腰部、仙骨部に分けられます。
硬膜外ブロックの直接の効果自体は永続しないので、一度だけで治療が完全に終了することは稀ですが、何度か行うことで慢性的な痛みも改善していくことが多いと言えます。
適切なリハビリテーション等と組み合わせることでブロックの頻度も減っていき、ほとんどの場合ブロックは不要になります。
勿論、効果が現れにくかったり好ましくない効果が現れた場合には治療を中止し他の方法をご提案いたします。
手順としては処置台の上で横になっていただきお腹を覗き込むように背中を丸めて突き出していただきます。
医師は滅菌グローブを装着し、患者様の背中を念入りに消毒します。
その後、細い針で表面の麻酔をしてから、硬膜外針という特殊な針を用いて目的の場所を穿刺します。
処置時間は概ね2〜4分程度ですが、ご高齢の方や側弯の強い方、体格の大きい方などでは少し処置の難易度が高く時間がかかる場合があります。
処置後は念のため20分間処置台で休んでいただき、その間は血圧や心拍数、酸素飽和度といった指標を観察しながら評価します。
硬膜外麻酔は、血液を固まりにくくする薬(ワーファリンやリクシアナ等)をお飲みの方や、その他血液が固まりにくい方、感染のある方などは安全のため施行できない場合がございますのでご了承ください。
仙骨硬膜外麻酔は多くの整形外科やペインクリニックで行われる傾向にありますが、より効果が現れやすく高度な胸部・腰部硬膜外麻酔を外来で提供できる施設は限られています。
近年は麻酔科の専門医でも硬膜外麻酔の経験が乏しい医師も増えてきています。
これは、米国をはじめとして様々な治療ほ成績を安定化させるため、個々の医師の技術に依存する治療が避けられる傾向にあることによると考えています。
当院院長は幸いにも卒後すぐから現在にいたるまで数多くの硬膜外麻酔を施行する機会に恵まれ、安定した技術を獲得しました。
また、当院では最初の表面麻酔も(27G 内径0.19mm)、硬膜外針も(22G 内径0.41mm)、可能な限り細いものをご用意しております。
(針の太さはG(ゲージ)で表され、数字が大きいほど細い針となっています。)
これにより、少しでも痛みの少ない処置が可能となっております。
極度の痛みで日常生活もままならない患者様を救えればと存じておりますので、ご相談いただければ幸いです。