コラム

花粉症の季節


一口に花粉症と言っても色々な植物の花粉が原因になるのですが、2〜4月にシーズンを迎えるスギ花粉症は日本人の国民病といっても良いでしょう。
花粉症はアレルギーの一種です。アレルギーというのは、平たく言えば、本来は体を病気から守るために重要な役割をする免疫機能が不適切にはたらき、かえって体に害を為したり色々な症状を引き起こしてしまう病態です。
ほとんどの場合、花粉自体はあまり人間の体に悪さをするわけでもないのですが、免疫がこれを排除しようと過剰に反応して、鼻水が止まらなくなったり目が真っ赤になってしまったり、辛い症状が出ます。
花粉症の治療として、昨今では鼻の粘膜をレーザーで焼灼する治療や減感作療法等が取り入れられることがあります。しかし、”抗ヒスタミン薬”の内服が簡便さや即効性、効果の幅広さ等の点で優位性があり、今も最もよく用いられている治療法です。
抗ヒスタミン薬は、花粉症の原因物質であるヒスタミンの受容体(特にH1受容体)の働きを抑えることで鼻水や目の痒み等の症状を和らげる薬で、他には皮膚の痒みを抑える等の作用もあります。
さて、抗ヒスタミン薬には喉が渇くなどの注意すべき副作用がいくつかあります。その中でも、”眠気”は困ってしまう方が多い副作用です。
眠気の副作用は古いタイプの第一世代抗ヒスタミン薬で強い傾向があります。
例えば、第一世代抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン(レスタミン)は、眠気を訴える方が多いのですが、それを逆手にとって同じ有効成分の薬が睡眠補助薬”ドリエル”として薬局等で販売されています。
比較的新しい第二世代ヒスタミン薬は、眠気等の副作用が少ない分、効果の強さや即効性がやや劣るような傾向があります。
しかし、昨今では比較的強力なのに眠気が少ないお薬もあります。
日本で2016年に発売されたビラスチン(ビラノア )は、眠気が少ない割に花粉症への効き目が強い薬です。さらに、作用時間が長く、一日一回の内服で良いのも魅力的です。
ただ、満腹時に飲むと効果が弱くなるので、空腹時に飲むよう推奨されています。
大抵の薬は食後に飲むようになっているため、空腹時の内服は飲み忘れが生じやすい、というのは欠点になり得るかもしれません。
抗ヒスタミン薬の一種であるd-クロルフェニラミンと、免疫力抑制・抗炎症作用のあるステロイドの一種、ベタメタゾンを合わせた”セレスタミン”という薬もあります。
あまり安易に長期間服用するべき薬ではありませんが、強力な抗アレルギー作用を有するので、特に症状が強い時には有用な薬です。
今回紹介したお薬はほんの一例で、当院では患者様の症状やライフスタイル、その他の健康状態等によって最適な治療をご提案させていただきます。
お気軽にご相談ください!